2012年5月5日土曜日

ヤナーチェクのピアノによるヤナーチェク

私はヤナーチェクが大好きです。
とりわけ、オペラは大好きで、ただ現段階では
言葉としてまとめるほどにはなっていません。
そこで興味深いピアノ作品録音を紹介してみます。

ピアノ作品集 イラスキー(ヤナーチェク博物館所蔵エアバー・ピアノ)(HMV)

これは 1枚で77分収録。収録されているのは、

・霧の中で
・ピアノ・ソナタ『1905年10月1日』
・草陰の小径にて(全15曲)
・ズデンカ変奏曲
・思い出

 「草陰の小径にて」が15曲なのは、いわゆる「第2集」を
ふくめているからですが、この問題ある5曲に関しては
ライナーノートできちんと述べられています。
この曲集はたしかに続編を意図されていましたが、
「Piu mosso」と「Allegro」の2曲ははずされたもの、そして
「Vivo」は未完成です。つまりヤナーチェクの最初の意図どおりなのは
「Andante」「Allegretto」 の2曲のみです。
ただし、作品としては興味深いことに変わりはなく、まず第2集として
 「Andante」「Allegretto」を演奏したのち「Piu mosso」と「Allegro」、
そして最後に未完の 「Vivo」をもってくる、というかたちにしています。

全集ではないもので、「ズデンカ変奏曲」と「思い出」 を収録してあるのも
いいですね、厳密に言えば違いますが、この実質的に最初と最後の
ピアノ作品は録音に恵まれていませんから。

さて、このCDの興味深い点は上記のとおり、ヤナーチェク自身が使用した
1876年製エアバー・ピアノを使用したピリオド楽器演奏という点です。

「霧の中で」第4曲で頻繁に現れる下降する速いパッセージの効果などは、
やはりモダンピアノではちょっと味わえないものですね、ハッとします。

 ソナタも、特に「予感」ではなんとも言えないニュアンスが出ています。

 「草陰の小径にて」第1集はまちがいなく白眉。
亡き娘との関わりを指摘される終曲は特に胸に迫りました。

ヤナーチェクの作品はあまりにも独特なので、
こうしたオーセンティシティなどの問題は度外視されがちですが、
やはり意義はたしかにあるのだと感じました。
室内楽作品などもピリオド楽器で聴いてみたいと思いました。

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