2012年5月1日火曜日

メンデルスゾーンのオルガン作品



メンデルスゾーンのオルガン作品全集はイニッヒのもの(Amazon)(HMV)

持っているのですが、
響きが「モダン」過ぎじゃないかな?という違和感がどうしてもぬぐえなくて、
安いことだし、これを購入してみました。
メンデルスゾーン:オルガン作品全集:ブライヒャー(Org.)(Amazon)(HMV)



我々が想像するロマンティック・オルガン、
たとえばラーデガスト・オルガンであったり、
カヴァイエ=コル・オルガンであったりは、
やはりリストの「『アド・ノス・アド・サルタレム・ウンダム』による幻想曲とフーガ」とか、
フランクの「交響的大作」などの作品以降に最適化されていると思うのです。
前者が1850年、後者が1862年の作曲であることを考えると、とても象徴的に思えます。
メンデルスゾーンの死後ですものね。
フランスのロマン派オルガン音楽とカヴァイエ=コル・オルガンの
結びつきは有名でご存知の方も多いと思います。
ヴィドールを中心に一度以前にフランスのロマン派オルガン音楽について
書いたことがあります。

ストップ変更が容易になるのも、上記のようなロマンティック・オルガンの
変化(もちろん作品の要求もあったでしょうし、相互作用でしょうが)があってこそですので、
バロック時代は無論のこと、メンデルスゾーン時代にもそうそうコロコロとストップ変更は
出来なかったわけで、ブライヒャーの全集で用いられているモーザー・オルガンでの演奏は
なにかモヤモヤしていた気持ちを晴らしてくれたところはあります。
まあ、欲をいえば、ブライヒャーの演奏がもっと冴えてくれていればいいんですけれど。

バロック様式のオルガンや、ロマンティック・オルガンは結構ありますけれど、
メンデルスゾーンに代表されるような中間期のオルガンって、意外に少ないのでしょうか?

しかし、こうしたメンデルスゾーンの作品が個性に乏しいという評はどうも納得できないですね。
たとえば、以前書きましたが後のラインベルガーのオルガン・ソナタは、
実際上、「前奏曲とフーガ」+αという構造なんですよ。
表面的にはモダンに見えて、実は基本構造はかなり保守的です。
それに比しても、メンデルスゾーンのオルガン・ソナタの多様性は
明らかであって、まあHMVなどのレビューはこの演奏が前提だからかもしれませんね。
ソナタ第3番とかもっとワクワクする曲なんですけどね…。

というわけで、もうひとつ、メンデルスゾーン時代に適したオルガンでの
全集を購入してみました。
メンデルスゾーン:オルガン作品全集:ロバン(Org.) (Amazon)(HMV)


これが当たりでした!上述の第3ソナタなども浮き立つような演奏。
全般にブライヒャーの全集よりいきいきとしています。
ただ、曲数は少な目。
ということで、ここで紹介した3つの全集で、皆さんの
目的(曲を余さず聴きたいか、最適な楽器で聴きたいか) にあわせて
ロマン派オルガン音楽のエアポケットを探究してみてはいかがでしょうか。

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