私が大学で尺八を始めて、邦楽の世界に触れていろいろ感性の変化があったのですが、 たとえば地唄には「作もの」という、滑稽な題材を歌詞にしたジャンルがあります。 学生時代は「作もの」は大嫌いだったんですが、丸くなってきたのか、 この滑稽な題材の中に人情味を感じさせるところがだんだん好きになってきまして、 西洋音楽でもオペレッタも聴いてみようかな、という気分になってきたのです。
私はピリオド楽器が大好きですので、最初に聴いたのは、 ミンコフスキ指揮の、ピリオド楽器によるオッフェンバックの2作品、 「美しきエレーヌ」と
「ジエロシュタイン公爵夫人」から入りました。
これらは、歌詞だけより映像で観たいなあ、という思いもありますが、
とりあえず音盤でも大変楽しかったです。
オーケストレーションもオリジナルを尊重しているので、
オペラに慣れたものからすると、大変いびつな編成にも思えますが、
それはそういうものなのだと徐々に慣れていくんでしょう。
一応映像も紹介しておきます。
オッフェンバック:喜歌劇《美しきエレーヌ》パリ・シャトレ座2000年 [DVD]
Offenbach: La Grande-Duchesse de Gerolstein [DVD] [Import]
「ジエロシュタイン公爵夫人」のDVDはall region のはずなのですが、
日本のamazonはUSから輸入する関係か、リージョン1になっていますね…。
いちおうジャケット写真ということで。
そういうわけで、オペレッタというと、あまり聴いたことがないなあ、と思っていたのですが、 こんな都合のいいBOXセットがあります。
「Zauber der Operette(オペレッタの魔法)」
これは100枚組で、有名なヨハン・シュトラウス2世の「こうもり」とか「ジプシー男爵」から、
本当に名前も聞いたことがないような作曲家の作品までさまざまです。
モノラルですが、戦後のドイツ国民を勇気づけるための放送音源で、
さすがにドイツの優秀録音技術、鑑賞には全く支障がありません。
さて、先日届きましたので、最初の作品、
パウル・アブラハム[Paul Abraham(1892-1960)]の
「ヴィクトリアと軽騎兵(VIKTORIA UND IHR HUSAR)」から聴いてみました。
なにしろこのBOXはライナーがドイツ語のみで、英語がかろうじてわかるという程度の
私にはちょっと敷居が高いのですが、いろいろ耳慣れた単語が出てくるのです。
曲が始まってすぐに「リムスキー=コルサコフが云々」とやっていて、
いったいなんだろうと思っていたら、そのうち、
「aus YOKOHAMA,aus PARIS」
と始まって、いよいよ何の話だかワカラナくなってきます。
まあ、作曲者の生没年からすると、日本の横浜はやはり神戸や長崎と並んで国際都市
としてドイツでは認識されていたんだろうということはわかります。
オペラの歌詞でさえ入手は容易ではないですから、
こんなマイナーオペレッタの歌詞は絶望的だろうな、と思いつつ、
このBOXを聴いてどんな発見があるだろうか、と、少し楽しみでもあります。
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