中心に聴いているのですが、これは映像で観ました。
ドニゼッティ「アンナ・ボレーナ」のウィーン国立歌劇場の新プロダクションです。
(Amazon)(HMV)
これが本当に素晴らしいのですよ!
偶然にもヒロインと同じ名前のアンナ・ネトレプコ
によるアンナ、ガランチャによるジョバンナはもちろん、
なによりダルカンジェロによるエンリコが貫録というかわかりやすい
悪人ヅラといいますか(失礼!)、なにしろ歌の実力はもちろん、
視覚的にも非常にわかりやすくてよいです。
日本語字幕はないですが、よく知られた物語ですから
なんとかついていけると思います。
どうしても日本語訳が欲しい方はこういう本もあります。
おぺら読本対訳シリーズ(40)アンナボレーナ/ガエターノドニ
私は現代的演出もいいとは思いますが、
すくなくともこのアンナのような作品の場合、こうした
保守的衣装と時代設定は必要不可欠であると思うのです。
アンナ・ボレーナ、すなわち英国国王ヘンリー8世の2番目の妻、
アン・ブーリンがこの作品のヒロインなのですが、
こうしたヒロインは、悲運に襲われても、毅然として
王妃と しての尊厳を忘れない強さがあり、
そこが歴史ものとしての背景の必然性だと思います。
女性に限らず、こうした強さを持った人物が現代において
はたして説得力をもって提示できるかというと、非常に難しいと思います。
高貴な立場という自覚が俄然説得力をもたせると思うわけです。
ですから、この作品や、「女王三部作」といわれる他の2作品、
「マリア・ステュアルダ」、「ロベルト・デヴリュー」にも
同じことが言えると思います。
そしてピドの指揮もオペラ指揮者として非常にツボを心得ていて、
聴いていて非常にここちよくドラマに入り込むことができました。
ウィーン国立歌劇場管弦楽団と合唱団がすばらしいのも言わずもがなです。
「アンナ・ボレーナ」は、 シルズ、グルベローヴァ、テオドッシウと
聴いてきましたが、なにしろ共演者にも恵まれなければなかなか難しいです。
カラスはちょっと苦手なので聴いていません。伝説ではありますが。
ぜひネトレプコには「マリア・ステュアルダ」、「ロベルト・デヴリュー」、
そしてグルベローヴァの「ルクレツィア・ボルジア」が、
ややキャリアの最盛期を過ぎてしまったかな、という感が否めないのが
非常に悔やまれるだけに、できれば傑作「ルクレツィア・ボルジア」の映像もお願いしたいところです。
もちろん「マリア・ステュアルダ」にはガランチャもぜひ再び共演して、
女の、女王の戦いを見せてほしいと思います。
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